認知症
物忘れ、認知症について
外来通院中の患者さんは、薬の飲み忘れや外来予約日を忘れたりなどのタイミングで認知症の検査を行うことがあります。また、物忘れや認知症が心配で来院された患者さんにも対応しています。
在宅医療を行っている患者さんで多くの方が罹患しているのが認知症です。認知症は以前のような差別的なボケではなく、脳にアミロイドβというタンパク質が蓄積する「病気」であるとされています。今は特効薬はありません。数時間から数日の短期記憶が障害されるのが主な症状です。しかし、周囲が困るのが怒りっぽさや妄想や不安です。ケアで対応できると良いのですが、薬物療法が必要になることもあります。薬物療法は転倒や傾眠などのリスクがあります。そこで、当院では、「本人が穏やかであること」「周囲が穏やかであること、共同生活に支障がないこと」「出来るだけ少なめに」をモットーに調整しています。尚、精神症状がメインで訪問診療を受けておられるかたは、行政の判断にはなりますが、自立支援医療で医療費補助の対象になることがあります。
外来診療で比較的多いのは、うつ病です。1ヶ月間「物事に対する興味がほとんどない、または楽しめない」「落ち込んだり、憂鬱に感じたり絶望的になる」とうつ病の可能性が高いと言われています(PRIME-MD)。うつ病もセロトニンという脳内の物質が影響していることが分かってきています。精神疾患はゆくゆくは脳内分泌科のような立場になっていくのかもしれませんね。
認知機能の評価を行います。主に長谷川式認知機能評価やMMSE(ミニメンタルステート検査)で評価を行います。また、問診によりFAST(Functional Assessment Staging of Alzheimer’s Disease)による進行度を確認します。
治療可能な認知症である「甲状腺機能低下症」「うつ病」「慢性硬膜下血腫」などの除外診断を行います。
必要があれば認知症の薬物治療や生活指導を行います。
周辺症状(物忘れに伴う困った行動:怒りっぽさや被害妄想)などが強い場合は精神科病院への紹介も行います。軽微な場合は当院で加療します。
頭部CT、MRIによる画像精査を行います。(連携医療機関に依頼)
アルツハイマー型認知症の場合は、認知機能低下に対する生活指導、薬物療法などを行います。
脳血管性認知症の場合は内科疾患のコントロールが進行予防に重要です。元々、かかりつけの患者さんにはこの治療が認知症予防になることもお話しています。
下記ような症状があればご相談ください。
会話が雑になり、面倒がる。
日付が分からない、時間がずれている。
同じことを繰り返したり、質問したりする。
怒りっぽくなる。
関心がなくなり、あまり外出しなくなる。