痛風・高尿酸血症

当院の治療のポイント

痛風・高尿酸血症は左記のガイドラインに準じて治療をしています。健康診断では、比較的低めでも指摘されることがあります。そのため、初回の診察で投薬はせず、生活指導のみで終了することがあります。

遺伝性について

高尿酸血症は「遺伝性・体質」が60%ほど影響していると言われています。生活指導のみでは改善できないこともあります。

そのため治療を開始すると半永久的に内服する方が多くなります。

生活のポイント

食事:高プリン食を避ける(レバーや干物など)

飲酒:ビールを減らす

水分:その他の病気がない人はまずは2L目標に飲む

痛風の原因と症状について

 痛風は、尿酸の過剰な蓄積によって引き起こされる疾患です。尿酸は、プリン体と呼ばれる物質から生成されますが、体内での尿酸の排泄がうまくいかない場合には、血液中の尿酸濃度が上昇して痛風を発症する可能性があります。痛風の典型的な症状は、急性の関節炎症です。足の親指の付け根にある関節が最も多いですが、他の関節にも炎症を引き起こすことがあります。痛風発作は、突然に始まり、赤く腫れ上がり、痛みが強く、触ると痛みが強くなります。

痛風の診断方法と検査について

 痛風の診断には、患者の症状や病歴の確認、関節液の検査、尿酸の検査などが用いられます。関節液の検査では、痛風発作時に炎症が生じた関節から液を採取し、尿酸結晶が存在するかどうかを調べます(内科がベースなっている当院では行っておりません)。また、血液中の尿酸濃度を測定します。痛風は、他の病気と混同されることがあります。例えば、関節リウマチや骨関節炎などが挙げられます。原則、単関節炎と言って、一つの関節にのみ起こることが多く、3箇所以上の関節痛の場合はその他の病気を考える必要があります。

痛風の治療法と薬について

 痛風の治療には、急性期の痛風発作の緩和や再発予防が目的です。高尿酸血症を治療すると腎不全を防げるという研究もありましたが、最近の論文では否定的です。ただし、高血圧症を合併する高尿酸血症は腎不全の進展を防ぐ可能性があります。急性期の痛風発作の緩和には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やコルヒチンが使用されます。痛み止めのNSAIDは消化器や心不全、腎不全に対する注意が必要です。再発予防には、尿酸値を下げる薬剤である尿酸排泄促進剤や尿酸産生抑制剤が使用されます。尿酸値を下げることで、尿酸の過剰な蓄積を防ぎ、痛風発作を予防することができます。また、食事の改善も痛風治療において重要な役割を果たします。プリン体の多い食品を控え、アルコールの摂取を控えることが推奨されています。

痛風の予防方法と注意点について

 痛風の予防には、尿酸値を下げることが重要です。そのためには、十分な飲水(2,000mlが目標)、食事の改善やアルコールの摂取量の制限が必要です。また、適度な運動やストレスの管理も重要です。痛風を発症している場合には、再発予防のために定期的な尿酸検査を受けることが推奨されています。当院では、4ヶ月毎(年に3回ほど)に行っていることが多いです。

痛風と食事の関係について

 痛風と食事の関係は非常に密接であり、プリン体の多い食品を控えることが重要です。プリン体は、肉類、魚介類、内臓などに多く含まれています。また、アルコールも痛風の発作を引き起こすことがあります。つまり、焼き鳥、居酒屋料理に多いんですね……(残念)。一方で、低脂肪で低プリンの食事を心がけることで、痛風発作の予防に役立ちます。また、ビタミンCの摂取やコーヒーの飲用が痛風の予防に有効であるとされています。

痛風とアルコールの関係について

 アルコールは、痛風の発症を促進する可能性があります。アルコールは、肝臓での尿酸の代謝を阻害することがあり、血液中の尿酸濃度を上昇させることがあります。また、ビールにはプリン体が含まれています。プリン体は上記の記事の通り高尿酸血症に繋がります。また、アルコールそのものが利尿作用があります。そのため、アルコールの摂取量は制限することが推奨されています。また、痛風を発症している場合には、アルコールの摂取を控えることが重要です。

痛風と運動の関係について

 適度な運動は、痛風の予防に役立ちます。運動によって、体内の尿酸排泄が促進されるため、尿酸値が下がることがあります。ただし、過度な運動や筋肉疲労は、尿酸値の上昇を引き起こすことがあるため、適度な運動を心がけましょう。水分を十分にしっかり取ることが大切です。目標としては運動前後の体重が変わらないレベルでの水分摂取がお勧めです。痛風の発作が起きた場合には、激しい運動は避けるようにしましょう。痛風発作後には、適度な運動を行うことで、体の代謝を促進し、再発を防ぐことができます。 

痛風治療薬について

 痛風治療には、痛風発作の治療と再発予防のための治療があります。

 痛風発作の治療には、痛みを和らげる鎮痛剤や、炎症を抑えるステロイド剤、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)などが使用されます。こちらは心不全、腎不全、胃腸症状に注意が必要です。コルヒチンについては、循環器に対して良く評価している研究が多いです。しかし、1mgを超えると胃腸症状の副作用(特に下痢)が出やすくなります。

 再発予防のための治療には、尿酸値を下げる薬剤が使用されます。尿酸排泄を促進する尿酸排泄促進剤や、尿酸合成を抑制する尿酸合成阻害剤があります。こちらも腎機能に合わせた選択、調整が必要です。再発予防の内服が、痛風発作を悪化させる研究結果があり、発作終了後に内服を開始します。

痛風についてのQ&A

Q: 痛風は遺伝するのでしょうか?

A: 痛風は、一部の遺伝子に異常がある場合に、発症しやすくなるとされています。近年の研究では60%ほどと予測されています。しかし、遺伝子だけが原因ではありません。食生活や生活習慣など、環境要因も大きな影響を与えます。しかし、食生活や生活習慣も文化的な側面もありますので、急激に変えることはストレス・心理的な負担になります。

Q: 痛風に効く自然療法はありますか?

A: 痛風に効く自然療法はここ数年の主な内科学の論文では指摘されていません。経験上は水分摂取と、疼痛部位をしっかり冷やすことが大切かと考えています。

Q: 痛風の治療期間はどのくらいですか?

A: 痛風の治療期間は、個人差があります。初期に来院されれば数日で回復しますが、局所が発赤し、疼痛が強い状態で来院されると14日ほどかかることもあります。症状が改善するまで、内服を続ける必要があります。再発予防のためには、長期的な治療が必要となります。