院長挨拶

1.生物学的、心理学的、社会学的に高いレベルの家庭医療を目指します

生物学的

現在の医学は生物学的な要素が重視されています。私自身は、生物学的見地では、特にガイドラインの遵守、治療の効率性(=NNT(Number needed to treat)、対症療法、後遺症、治療の選択肢、副作用を重視しています。専門医療より高齢者医療に関わることが多かったため、治療の優先順位をつけるのも比較的得意ではないかと思います。

心理学的

人は理解すれば行動に移れるのでしょうか?もし、そうであれば、タバコを吸う、食べ過ぎる、飲み過ぎる医療関係者はいませんよね。そこには心理的要素や下記の社会的要素が関与しています。

社会学的

理解し、動機があっても環境的に無理なこともあります。例えば糖尿病。飽食の時代、コンビニや外食には炭水化物が所狭しと並んでいます。治療がしたくても、薬代が厳しい人も居ます。子供の頃の食育が問題だったかもしれません。

完璧な家庭医療は絶対にありません。高いレベルを目指し学び続けます。訪問診療で社会的な見地を、公認心理師の学習と共に心理学的な見地をトレーニングしています。社会医学、公衆衛生学などを正式に学ぶとより高いレベルに行けそうですが、まだそこまで至っていません。(もちろん主要な論文には目を通しますが)趣味で取ったファイナンシャルプランナーの資格はコストパフォーマンスを意識させてくれます。医学のアウトカムは様々ですが、いかに幸せな人生を生きれるか(=ウェルビーイング)を意識しながら診療しています。

引用:Wikipedia

2.継続性を重視し、小児から高齢者まで対応できるクリニックを目指します 。

医療だけではなく、社会は信頼関係の上に成り立っています。最近ではITを使って信頼を測定する、評価する傾向もありますね。資格試験や専門医などで、社会は信頼をある程度保証してくれます。しかし、感情的には会ってぱっと出来るものではありません。

信頼は繰り返し積み重ねるものです。

だからこそ、継続性を重視し、長くかかりつけ医であることを目指します。通院が困難な場合は訪問診療に切り替えてサポートいたします。

小児の受診はできる限り対応しますが、内服の調剤の関係もあり、常に対応できるとは限りません。また、出生数ヶ月の小児の場合は、基礎体力がないため、早めに専門医に診察を受けるほうがよりよい時があります。

3.家庭医療、プライマリ・ケアに特化します。

時間は有限です。どの能力にどれだけ時間を投資したかが、医師としての能力を決めます。プライマリ・ケア医として、医療知識を広げるときには専門性より汎用性を優先します。

私のイメージでは、「4輪駆動車」のイメージです。公道も走れるけど、山道も走られる。使い勝手の良い車です。専門性が高い医者は、スーパーカーや水陸両用車、消防車などのイメージですね。

いい絵本がありました。「しょうぼうじどうしゃじぷた」
患者さんにとって、地域にとって使い勝手が良い医者でありたいと思っています。

4.佐賀全体の地域医療を底上げ出来るように活動します。

スーパードクターは地域医療を破壊するのではないかという仮説を考えています。

スーパードクターが地域に現れると患者さんが集まり、周囲の医療機関は閉院していきます。しかし、医師の賞味期限はおおよそ3040年です。人は100年生きる時代になってきています。30年過ぎたら、その地域の医療はどうなっているでしょうか?

地域医療はトップダウンではない、ボトムアップだと信じています。

最近では、自分の存在を出来るだけ消すことを考えています。承認欲求と矛盾するので難しいですが、存在が空気になるのが良い医療インフラである可能性を考えています。

5.知りながら害をなさない

ヒポクラテスの誓いの中に表現されている言葉で、ピーター・ドラッカーが「マネジメント」という本から引用したものです。

”プロたるものは、医者、弁護士、マネジャーのいずれであろうと、顧客に対して、必ず良い結果をもたらすと約束することは出来ない。最善をつくすことしかできない。しかし、知りながら害をなすことはしないとの約束はしなければならない。”

医学は日進月歩であり、かつ、日々情報が増加していく学問です。全てを知ることはできません。しかし、知りうる範囲を増やしながら、知りながら害をなさないことを約束します。本当は「絶対こうなる」「絶対助ける」とか、かっこいいセリフを言ってみたいものですが(笑)。医学も私も未熟であり、出来ることと出来ないことがあります。

また、マネジメントの中にはこうも書かれています。”プロたるものは自律性を持たなければならない。顧客によって、支配、監督、指揮されてはならない。また、自らの知識と判断が自らの決定になって表れるという意味においては、私的な存在でなければならない。しかし同時に、自らの私的な利害によってではなく、公的な利害によって動くことこそ、彼(プロ)に与えられる自律性の基礎であり根拠である。”

このパラグラフが意味するところは、「コンセプトは顧客と共有する、方法はプロに任せてほしい」ということでしょうか。大切なことは方法の詳細より、ニーズやコンセプトの共有だと思います。