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感冒の治療では
上記、2つを大切と考えています。
安易に抗生剤を使用すると耐性菌が出現します。耐性菌とは抗生剤が効きにくい菌です。効きにくいだけではなく、抗生剤が全く効かない菌も論文上で報告されつつあります。数年前に佐賀県北部の病院でも耐性菌で患者が死亡した報告がありました。某大学病院でも耐性菌で死亡した報告がありました。
耐性菌は一人だけではなく、佐賀市の地域の問題でもあります。耐性菌は一人に存在するのではなく、抗生剤を乱用する地域に存在します。つまり、耐性菌の問題は個人だけの問題から、徐々に皆の問題になりつつあります。そのため厚生労働省も耐性菌対策について行政として関わることが多くなってきました。
厚生労働省HP【https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120172.html】
”「適切な薬剤」を「必要な場合に限り」、「適切な量と期間」使用することを徹底する”ことが求められており、出来る限り準じていきたいと思っています。
なぜ出来る限りと言うのか、これは診断の曖昧さによります。感冒の診断を確実にするためには、採血やレントゲンなどの多くの検査を必要とします。感冒に罹患したと思われる全ての人に検査を行うことは費用対効果が良いとは言えません。また、感染症は病原菌の量と個人の免疫のバランスでもあり、診断するタイミングもあります。○時○分に発症したとは言えず、移行期間もあります。
予防効果は数千人に一人、副作用は数十人に一人と言われています。そのため、こじらせた後に抗生剤を使用することが原則になります。こじらせたくない気持ちは重々承知ですし、自分もこじらせたくないですが。
ちなみに、レントゲンで肺炎と診断がついた患者さんでさえ、細菌性肺炎(抗生剤が有効である)が関与していると証明された研究では25%程度のものでした(海外の論文)。ただし、肺炎については日本でも抗生剤を使用することの医学的総意(コンセンサス)があるとされています。
上記の通り、予防に抗生剤は効果がないので、一定の人がこじらせます。
これは菌の量が多かったり、体力、糖尿病、肝臓病など免疫を落とす持病があるなどが原因です。この際には抗生剤が効果を示します。こじらせないかと数日おきに来院してもらうのも大変ですので、こじらせたときにどのような症状になるのかはお話します。
上記、2点に注意しつつ個別の患者さんの背景や病状を理解しつつ判断をしていきます。
食事が取れているとき、水分が取れているときには効果は限定的です。脱水がある、お腹の風邪である胃腸炎で下痢がひどい場合は、きつさなどの症状が緩和されることが多いです。早く治したい、いついつまでに治したいという気持ちは痛いほど分かります。ただし、転んで擦りむいた膝傷を早く治す方法がそうそうないように、自然治癒を早める方法も限定的なのです。早める方法でメジャーな方法は、ご存知「睡眠」と「栄養」です。